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ポルトガル所得税ー海外源泉所得は別表Jで申告

 
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あれは先々月、「所得税の申告自体は問題なくできたのだけれど、後程税務署から海外源泉所得があれば過年度のものも含め申告してください」と通知が来たという話でした。税務所からお問い合わせがあると、たとえやましいことがなくてもワクワクはしないですよね。私なら、正直ドキッとします。この時、所得税の申告期限6月末日までまだまだ時間があると高を括って申告が済んでいなかった私は、海外源泉所得の申告書入力方法を後日伝えることを約束して電話を切りました。

さて6月、やっと税務サイトにアクセスし、申告書の入力です。私も僅かながら海外源泉所得があるので、申告画面で別表(と訳してみましたが、ポルトガル語ではAnexoです)Jを追加しました(こちらは、通常の居住者の海外源泉所得で、非常住居住者の所得税の申告書は別表Lですのでお間違いなく)。ポルトガルでは、所得税はそれぞれカテゴリーごとに申告書が分かれており、給与所得ならA、事業所得ならB…(所得税について詳しくはこちらを参照ください)といった具合に、もし画面上に自分が申告すべき別表がなければ、必要な別表を自分で追加できます。

ちなみに、居住者は、所得が海外で発生したものであっても、原則居住国で税金を支払うことになります。つまり、ポルトガルに居住しつつ、日本その他の国で何らかの所得(ex. 事業所得、投資関連所得や年金)を得ている場合、原則ポルトガルで税金を支払うことになるということです(CIRS第15条第1項)。但し、それだと同一所得に対して、源泉国と居住国の2か国で課税が生じる可能性があるため(税法は各国で個別に規定)、2国間で租税条約を締結し、二重課税という不合理な負担を防止しているのです。従って、租税条約が締結されている場合には、2国間の課税配分はこれに従うことになります。仮に日本で稼得した所得なら2013年から日葡(ポルトガル)間で租税条約(「日葡租税条約」で検索すると外務省のサイトが見つかります)が発効しているので、これに則ることになります。また、日本源泉所得については、日本で所定の届出を出せば、源泉徴収されずに満額受け取ることも可能です(居住国ポルトガルで課税)。

それでは、どのような場合にポルトガル居住者に該当するのでしょう?これについては、所得税法CIRS第16条第1項に以下の記載があります。対象となる年度(暦年)に、以下の要件のいずれかを満たしている人です。

  1. 年始日又は年末日のいずれかを含む183日間、継続的又は断続的に滞在
  2. 前述した滞在期間より短くても、在住場所として維持・占有の意図を推測させるような状況で居住
  3. 12月31日時点、船舶や航空機の乗組員で、その地域に居住地、本社、または実質的経営権を持つ企業に雇用されている
  4. 海外でポルトガル国のために公的任務に従事している

滞在日数については、宿泊を含めば一日24時間に満たなくても日数にカウントされます(CIRS第16条第2項)。3や4は特定の職業に従事している場合なので、通常は1や2でその適用が決まる、つまり税法上の居住者かどうかが決まることになると考えればよいでしょう。

ちなみに、仮に租税条約がなかったとしてもポルトガルで所得税の申告をする場合は、所得税法CIRS第81条第1項に基づき、海外納税額と海外源泉所得を総合課税前提で算定した税額のいずれか小さい方を控除できるとし、二重課税の発生を防止しています。つまり、同一カテゴリーの所得税につき所得源泉国よりポルトガルの税額の方が高い場合は、一般に、国内源泉所得だった場合ポルトガルで納付すべきであった金額から海外で納付済みの金額を控除した、その差額につきポルトガルで納付することになります。その逆の場合は、原則、ポルトガルでの納税は発生しないということですね。

尚、EU内は言わずもがな、それ以外のOECD加盟国間で非居住者の金融口座の自動情報交換制度に参加している場合は、情報は筒抜けの可能性があります。

さて、話を戻して、今年の別表J(オンライン)を見てみると、気のせいか、何だか去年より充実しているような…。以前より各カテゴリーごとの所得(不動産所得や投資関連所得など)が視覚的に分かりやすく区分され、整理されている印象です。つまり、海外所得と言えども、源泉が海外なだけで、その所得の特性は、給与所得(カテゴリーA)、事業所得(カテゴリーB)、利子配当所得(カテゴリーE)、不動産所得(カテゴリーF)、譲渡所得(カテゴリーG)、年金所得(カテゴリーH)の基本6カテゴリー(詳しくは、こちら)に分類されているので、同じような感覚で入力します。

海外源泉所得なので、課税に影響を及ぼし得る183日ルール(カテゴリーA及びB)や恒久的施設(カテゴリーB)有無の確認、海外納税額について入力しますが、それ以外は基本、通常の所得税申告と同様と考えて問題ないでしょう。カテゴリーEやF、G(養育費の場合はHも)については、総合課税か分離課税かのシミュレーションをしてみる(と言っても海外源泉所得を含むと通常の所得税申告の場合のようにオンラインシミュレーションはできませんが、提出はできます)、そして入力情報をサポートする資料を手元に残しておくことをお忘れなく!

 

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