ドウロ、トラズ・オズ・モンテス地方の愉しみ方

ポルトガルのお店でレシートの要否を聞かれる理由

2018/12/20
 
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先日あるお店で、精算時にレシートがいるか聞かれました。これ、個人商店なら尚更、お店の人の方から聞いてくれることはあまりないので大変珍しいこと。わざわざいるかと聞かれたので、「じゃ、貰っておこうかな」と何の気なしに答えたら、「○%追加で支払いになりますがいいですか」。勘が鋭い人ならすぐ分かるかもしれませんが、これお店にとっては税金対策(?!)。税務署は目と鼻の先、そんなにあからさまでええんかい?と突っ込みたくなるところですが、相手は親切で言ってくれていることが明らか、しかもきれいなお姉さん。ニッコリ笑って「じゃ、いいです。」とあっさりお店を後に。

ポルトガルでは納税を国民に牽制させる面白いシステムがあります。一般市民の力を借りて法人や個人事業主の脱税を牽制しようとするシステムです。つまり、一般市民に所得税の税額控除を受けられる権利を与え、その恩恵を受けようとする一般市民のモチベーションを利用して逆にモノやサービスを提供する側の税負担を確実にするのです。具体的には次のような方法によります。まず、個人が所得税の申告書上控除を受けるためには、関連する費用につき、自分の納税者番号が記載されているレシートを入手しなければなりません。そして、モノ・サービス提供の際に発行された納税者番号の記載のあるレシート情報は税務当局のシステム上一元管理され、各人が自分の番号に紐付けられたレシートをオンラインで自由に見に行くことができ、モノ・サービスの提供者により登録されていないレシートがあれば消費者が自分で登録することもできるようになっています。このため、モノ・サービスの提供者側は言い逃れができないという仕組みです。

ポルトガルにも教育・医療費等いくつか税額控除に相当する項目があって(詳しくはこちら)、そのうち今回の会話の対象となっているのは、私の側からみると家庭で発生する一般費用の税額控除です(人によっては法人又は個人事業主の損金等が該当することもあるでしょう)。ポルトガルでは、家庭で生じた一般費用支出額の35%相当額を納税義務者一人当たり250ユーロを上限として所得税額の計算上控除することができます(2017年5月現在)。日本でもマイナンバーの導入が行われ、生活のそこここにじわーっと浸透してきているかと思いますが、ポルトガルのこのような納税システムはこういうことも起こりうる、という一例と言えるかもしれません。

また、旅行していればレストランやカフェ、ホテル、美容院等ででもレシートの要否を聞かれることがあるかもしれません。これは、これらのサービスに係り支払った消費税の15%相当額を納税義務者一人当たり250ユーロを上限として所得税の税額控除を受けることができる(2017年5月現在)ためです。モノ・サービスの対価そのものではなく消費税額の15%と少額設定である点で、まさに牽制機能臭いですねー。モノ・サービスを提供する側にとっては、消費税の支払いだけでも結構な金額になるので(2017年5月現在本国で基本税率23%、但し6%、13%の軽減税率あり)、お客に喜んで貰おうと価格をリーゾナブルに設定すればするほど自分の首を絞めることになりかねず、そんな相手の状況を推し量り過ぎると、消費者側はレシートをお願いする権利はあるものの相手の顔色を伺って遠慮したりすることも。そう言えば一度リスボンで宿泊した際に宿主にレシートをお願いしたら、喧嘩腰でその分値上げを要求されました…(笑)。

そんなわけで日本にいるときは自営業でもない限りそのままゴミ箱にでも直行しそうなレシートですが、ポルトガルにいると神経研ぎ澄ましてかかることになります。というのも、控除対象のレシートならすかさず納税者番号を言わないと後から言っても再発行しませんという対応が一般的だからです。知り合いの中には「それはそっちの都合でしょう。納税者番号を聞かなかったそっちに非がある。」と言って再発行してもらう、というツワモノもいますが、争い事に滅法弱い私は「しまった、忘れた…」という悔しい思いを胸に次忘れないようにしようと思いつつまた忘れたり…。ま、でもお陰様で納税者番号は電話番号よりスムーズに言えるようになりました!ああ、意味な~い。

 

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