ドウロ、トラズ・オズ・モンテス地方の愉しみ方

ポルトガル、トラズ・オズ・モンテスの手織り工芸ーTecelagem em Trás-os-Montes

2019/03/09
 
トラズ・オズ・モンテスの手織りラグ
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先週、トラズ・オズ・モンテスのとある村を訪れました。目的は、伝統的な手織り工芸を守り続けているある女性に会うことでした。通訳として同行した私をも明るくにこやかに出迎えてくれたその女性に工房にいざなわれ、数日前からネットで入手していた予備知識と照らし合わせながら、実際にその制作物であるラグをはじめとする織物を目の前にしてワクワク。何にそんなにワクワクするかというと、ここでは単に織機で織物を織るだけではないのです。この女性は、まず近くの羊飼いから羊毛を買いつけ、これを梳き、更に紡いで糸束を作り、そこでやっと織機で織るという一連の作業を一人でこなす貴重な人なのです。そこで出来上がってくる毛織物はまさに手作業・労力の賜物、希少な一品だということは容易に想像がつくでしょう。

トラズ・オズ・モンテスの手織り

本当は過去に何人かの人を雇ったりして後継者を育てようと頑張った時期もあったようですが、なかなか利益の出る仕事でないところ、給料や社会保険料を支払わなければならないという精神的・金銭的負担もばかにならず、今はそんな負担から解放されて自分一人、自分のペースで制作を継続しているとのこと。いろんな作業を実際にやって見せてくれるのですが、どんな作業でも一人静かに没頭する姿は、「好き」を仕事にするってこういうことなんだな、と言うに言われぬ感動が胸に込み上げてくる感慨深い光景でした。

この話を後日義母にしたところ、義母の実家(トラズ・オズ・モンテスの村にある)でも義祖母がやはり自宅に織機を持って織物を織っていたと言って、作品を見せてくれました。こちらは上記とは異なり糸目の細いものですが、いつも見慣れたそのテーブルクロスがまさか義祖母の手作りだったとは。でも、今その織機は実家にはありません。時間と共に使われず失われていったのでしょう。そして、それはトラズ・オズ・モンテスの村にあるあらゆる家庭で起こっていることなのでしょう。

先の女性の織物工芸も元々はお母様から学ばれたものでした。それを彼女なりのやり方で今の形にしたのでしょう。彼女曰く、この技術を今でも守っている人を他には知らない、と。おそらく日本の家内制手工業でも同様の問題を抱えていると思われますが、伝統技術を未来に繋いでいってくれる人がいてくれれば、という切実な思いはこのまま実現することなく消えていってしまうのでしょうか。

作業を拝見した後、お食事をごちそうになりました。予定していなかったのであり合わせだけれどと言いながらテーブルに並べられたトラズ・オズ・モンテスらしい食べ物のほとんどーアリェイラ(元来キリスト教への改宗を強制された豚を食べられないユダヤ教徒が代わりにパンや鶏肉で作った腸詰、現在は豚肉も入っています。詳細はこちら)、ジャガイモ、オリーブオイル、ワイン、ハチミツーは、やはり手作り、自家製でした。おまけに、この家では所有する土地に水源があって、水まで自家製。

これこれ、村に住むことの恩恵はここにあるのです。オリーブの木を育てて採れたオリーブを圧搾所に持ち込んでオリーブオイルにして自宅で使う、それこそまさに私の憧れなのですよー!「自分で植えたら2、3年で実がなり、7、8年で利益を生むようになるよ」とその女性のご主人に言われて若干意気消沈しましたが、いつかできたらなー。そんな思いを夫に話したら、家で観葉植物一つまともに育てられないのに、どうやって!?と痛恨の一撃。帰りにお土産に頂いたハチミツに夫は大喜びで、これを買いに行こうと大張り切り。私はラグを買いたいんですけれど…。

こちらのラグ、実は日本でも手に入ります。ご興味のある方はCASTELLA NOTEさんのサイトへどうぞ。

 

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