夏休みに入って、早1ヵ月以上、グラウンドでボール蹴りに勤しんでいた息子が急に止まった。ん、いやな予感…。
今年に入ってから、我が家は何かに呪われている!?息子は立て続けに体調を崩し、既に学校を休むこと断続的に2週間以上。常に知力より体力でここまでやってきた、かつて健康優良児を自負していた私は、そもそも学校を2日以上休んだ経験などないので、息子が学校を休む度に、大丈夫か?と不安に襲われる日々。そして、そんなある日とうとう学校でケガをして帰って来た。それも擦り傷じゃない、あごがぱっくり開いた状態で…。普通日本の学校環境なら、こういうことがあれば学校から連絡が入ると思うのだが、何と学校ではたまたま近くにいた補助作業員の人に絆創膏をもらい、本人はケガの後授業まで出て、とは言え血も止まらずさすがに怖くて昼食をとらずに帰宅したと言う。いやー、我が息子ながらよく我慢したものだ…と感心している場合じゃないので、病院の救急に飛び込んで処置してもらったのは言うまでもない。
ちなみに息子の通う公立学校(6年生)には保健室というものがないらしい。今回初めて知って驚愕した事実であるが、じゃあ、今回のような場合どうなるんだろう…。何らかの対応を期待している訳ではないが、一応、担任の先生にことの次第を伝えるメールを送った。でも、よく考えてみれば、アメリカの高校に通った時も、日本のように専門家が待機してベッドまで存在するような保健室はなかった気がする。一度頭痛で保健室?らしき場所に赴いた時、待機していた同級生が頭のマッサージをしてくれた記憶はある。そう思うと、改めて日本の整備体制はさすが、と感心してしまう。
それにしても、今年は病院の救急に何度訪れたことか!ポルトガルのありがたいところは、公的医療機関における子供の処置が無料だということだ(最近は大人も?)。病院の救急はいつも込み合っていて、事前に対応してくれる看護師さんによって診断の優先順位がつけられ、その後はひたすら名前を呼ばれるのを待つ。どれぐらい待たされるかは予想できないので、約束があればキャンセルしなければならない。窓口で救急にいたことを証明する書類を発行してもらえるが、提出先のある勤め人でなければ意味がない。
それからしばらくして、今度は夜丁度作業が一段落したところに電話がかかってきた。サッカーの練習中に息子がチームメートと接触、転んで肘を痛めたらしい。急いでグラウンドに到着、泣きながら痛みに顔を歪める息子の表情を見て、前のシーズンに同じようにサッカーの試合で肘を骨折した悪夢が蘇ってくる。問答無用で病院の救急に飛び込み、例の如く相当待たされてから診察、やはり骨折。幸い手術は必要なかったが、これで今シーズンのサッカーの試合は終わりだ、と当の本人そっちのけで夫が一番残念がっている。こうして、その夜は、今年2度目の救急午前様となった。タクシーで午前様となった前回に比べれば、その日は夫の車で帰宅できた分、たとえ午前様でも多少気分は楽だった。
実は、前回の救急午前様体験では稀有な体験をすることになった。何と、救急車をお願いするため初めて消防署に電話したのだ(無意味にどや顔)。ポルトガルでは、112番すると救急車が来てくれるはずだが、INEMと書かれた黄色い車体と赤(または青)と白の車体の2種類がある。前者のINEMは消防署ではなく病院を出発する点では異なるものの、いずれも所謂日本で言う救急車に相当し、急病人などの救急搬送をしている。ただ、後者は病院の救急の出入口で見かけるものの、あまり緊迫感が感じられず一体何をしているのだろう?と常々思っていた。そして、その後者の救急車は消防署にある。ちなみに、ポルトガルでは、一部を除き消防活動の大半がボランティアなど非正規人員の手に委ねられていると言われ、ここヴィラ・レアルにある消防署もその例外ではない。
その夜、体温40度超えの息子を前にして不安ではあるが、ネットで情報収集をしつつ、その前の日にも救急に連れて行った時に言われた通り、水分を摂らせてゆっくり寝かせるしかないと腹を括っていた。しかし、出張中の夫から電話がかかってきて、救急に連れて行けと言われ、夜に弱く車を運転しない私は言われるがままに所謂消防署の方に救急車を出してもらえるか電話してみた。すると、出せるけれど60ユーロかかります、と言われた。続いて、電話の向こうからこんな入れ知恵を授けられた。「112番に電話して、体調が非常に酷いと言えば無料で救急車が出せます」(ポルトガルでは、こういう相手を思っての悪意のないアドバイスを受けることがあります笑)つまり、住民の依頼があれば有料で車を出せるが、INEMから出動要請を受ければ無料になるということなのだ。結局、タクシーを呼んで(最初からそうすればよかったのになぜか全く思いつかなかった…驚)救急に向かい、帰りは午前様となった。
そうこうしているうちに、ギプスをつけたままおとなしく家にこもらざるを得なかった日々も明け、またいつもの日常が戻って来たけれど、その後も検査や診察やで相変わらず病院やクリニック参りの日々。その度に学校に連絡して証明書を提出して…。一番ツライのは息子だけど、周りも結構大変なのだ。
ちなみに、今回は捻挫で済んだようだ…ほっ。
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