ドウロ、トラズ・オズ・モンテス地方の愉しみ方

ポルトガルの社会保険料

2019/01/12
 
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(注意:こちらの記事は2018年4月時点のものです。個人事業主の2019年以降については、こちらをご覧ください)

なぬー、29.6%~!?

先日、社会保険料について知り合いの人から質問を受けることがあり、そう言えばそろそろ私も確認しとかなきゃ、と思い立ちポルトガル在住6年目にして(おそ~っ!)やっと社会保険料について調べてみることに。というのも、昨年私は個人事業主としての事業活動を税務署で登録したのですが、ポルトガルではこの事業活動登録をすると、その登録から原則1年経過後(実際は10月で一旦締めるので11月からの請求になることが多いとのこと)以降に社会保険料の支払いが生じるシステムになっているのです。

ちなみに、ポルトガルでフリーランス(個人事業主)として働く場合には、前述した専門の事業活動分野を税務署で登録しなければなりません。この事業活動の種類は所得税法151条添付Ⅰ(ANEXOⅠ)に列挙されています。そして、事業活動登録後、原則として税務署のオンラインシステムで顧客に請求書や領収書を発行することになります。ちなみに前述の登録手続では銀行口座の登録も要求されるので、理論上は、税務署が税務申告書の内容を登録された銀行口座の入金と紐付けすることは容易にできることになります。

話を社会保険料に戻します。ポルトガルの社会保険制度は弁護士といった特定の保険制度を持った業界の人以外は全員加入することが義務付けられています。それでは、具体的にどんな制度になっているのかと思いつつ、とりあえず料率から…と調べてみると、個人事業主は何と29.6%!?(但し、月額所得がIAS×12=5,146.8ユーロを超えると保険料はIAS×12×29.6%で頭打ちなので、料率は実質的に下がる)いやー、冗談でしょー!と引きつり笑いを浮かべながらもう一度見直したものの、残念ながら数字は変わりませんでした(笑)。

社会保険料は年間2,573.4ユーロ(2018年IAS428.9×6ヶ月)超の所得(ここでいう所得とはサービス業なら総収入の70%、物品販売なら同じく20%相当額)がある場合に支払義務が発生し、うち5,146.8ユーロ(IAS428.9×12ヶ月)未満の所得の人の保険料は社会保険庁に申し出ることで50%減額されます。例えば、仮に前年の所得が2,600ユーロだった人が社会保険料を支払おうとすると、月次で63.48ユーロ(=IAS428.9(保険料表参照)×50%×29.6%)、年間にして761.76ユーロを支払うことになります。日本円に直して考えると、年間約34万円の所得しかない場合でも、保険料を約10万円徴収される計算になります。おお、ヴィオレント(violent)、ヴィオレント!しかも、この社会保険で補償される健康保険部分は、日本のようにどこに行っても3割負担というものではなく、極めて限定的で、正直あまり使いものになりません。

一方、企業に勤めている場合だと、本人負担11%、雇用者負担がその約2倍、すなわち、雇用者が全納付額の約2/3を負担することになり、非常に重いですね。

この点、日本はどうなのかというと、国民年金は月額1万6,340円(2018年度)、一定の額を下回る場合には全額・部分免除又は納付猶予が認められている一方、厚生年金保険料率は2017年9月時点で18.3%(労使折半)となっています。また、国民健康保険料は市町村によって異なりますが、大体所得割分が9-10%程度に均等/平等割月額5-6千円(但し所得により一定の軽減措置あり)、それ以外の企業加入の健康保険の場合、一般的に所得の10%(労使折半)程度と考えられます。

というわけで、長年(?)日本でサラリーマンをやっていた私にとって、29.6%という料率はなかなか強烈なインパクトなわけですが、実はこの料率2019年から21.4%に減額されることが決まっています。ただ、今まで最低所得圏(年間2,573.4ユーロ(2018年IAS428.9×6ヶ月)以下の所得)にいて保険料納付を免れてきた人達は、今後事業活動登録を継続させたい場合、月々最低支払額20ユーロ以下を納付し続ける必要が出てくるかもしれません。逆に、今まで被雇用者ステータスで個人事業主(フリーランス)所得もある場合、社会保険料の徴収はなかったのですが、今後一定額を上回る部分については徴収の対象になります。また、雇用主がフリーランサーと契約して使用する場合の使用者負担も増加するようですね。

今後公正かつ建設的な方向での改正なら、大歓迎!状況を見守りたいと思います。

2019年に適用が開始される改正の内容については、こちらをどうぞ。

 

 

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