ドウロ、トラズ・オズ・モンテス地方の愉しみ方

ポルトガルで大学を出ても

 
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先日、昨年2月まで大学の日本語公開講座で教えていた生徒からメールが届きました。「しばらく連絡せずにいてすみません。就職活動が難航していて…。どんなに頑張っても人生に何の変化も訪れず、心が折れそうです(意訳)」彼女は昨年春に大学でITデザインの分野で修士を終え、就職活動をしているところです。「今日もまた経験者でないという理由で不採用通知が届きました。だから、少しでも経験を積ませてくれるところを探しているのに…」

ちなみにポルトガルは、ボローニャ・プロセスを採用しており、通常学士3年、修士2年で、文系でも学士を修了した大学に修士があれば学士終了後修士に進学する生徒が多く、個人的には学士の延長のような、日本の修士とはちょっと異なるイメージを持っています。ボローニャ・プロセス採用前のポルトガルで学士5年で卒業した人達からすれば、現在の修士終了後の人に「今時修士を終えていないなんて…」と上から目線で言われるのはちょっと納得し辛い感覚のようです(笑)。

話を戻して、ではポルトガルの若年層の失業率は実際のところ一体どれくらいなのでしょうか。ILO statを見ると15歳から24歳で集計されています。本当は修士を終えた後の20代後半くらいまでを若年層として含めた情報を見たいのですが、残念ながら見つからないのでとりあえずこれで。ちなみにポルトガルは基本的に12年生(高校3年生)まで義務教育なので、15歳で働き始めるという状況は極めて限られるような気がしますが、このデータをもとに見てみましょう。

現時点の最新データである2017年で見るとギリシャの43.6%やスペインの38.6%に比べれば見劣り(!?)しますがそれでも23.9%とほぼ4人に1人は失業中であるということが分かります。ちなみに、この数字はここ何年かの推移表で見れば決して悪い数字ではなく、ヨーロッパを襲った金融危機直後の2012年、2013年はいずれも若年層の失業率が38%程度でした。確かに2012年出産直前に保健センター(centro de saúde)で行われた妊婦勉強会に参加した時に、堂々と「失業中です」と自己紹介をする人の多さにぶったまげたことを思い出します(当時同様の身だった自分のことを棚に上げて…笑)。それに比べ、現在、特に2017年は世界的な好景気の波に乗って景気状況は悪くはなかったはずです。

この点、日本はどうかというと、同じ15歳から24歳の失業率でみると、2017年、2018年はそれぞれ4.6%、3.6%(総務省統計局労働力調査)、リーマンショック直後の2009年、2010年でもせいぜい9%代前半であり、南欧の状況は日本人の私達からすると想像を絶するものであることが分かると思います。

ところで、ポルトガルはそもそも日本のように大小を問わず企業がいくらでもあって仕事を選びさえしなければ雇用機会がふんだんにある(言い過ぎ?)国とは異なります。なので、いわゆる就職活動時期という概念は当然ありません。企業規模は一般的に小さいので募集人数も少ないし、内陸に行けば更に雇用機会は減ります。例えば、私が住むヴィラ・レアルという内陸の町で目立った雇用を生んでいるのは、病院や学校、役所その他公的機関といった国民の税金で運営されている施設ではないかと思われます(とは言え、OECD “Government at a Glance 2017″によると2015年ポルトガルの全雇用者に対する公務員比率は15%程度なので私の色眼鏡でしょうか…)。そのため、就職活動をしている若者は、ポルトやリスボンに出ていくことは想定内です。それでも、仕事を見つけるのはなかなか大変。先の生徒は、先日、コンタクトした企業から連絡があり話を聞いてみると、リスボンで無給インターンをやらないか、という話だったそうで、就職活動で焦る人の足元を見たかなりブラックな空気を感じさせます。

大卒のやる気のある人材でも、海外に出れば特に言葉のハンデで単純労働にしか就けない、という現実もあり、海外就業については賛否両論あると思いますが、個人的信頼に重きを置くお国柄、そういったコネがない若者も多数いるはずで、新卒ですぐに自分で道を切り拓ける人はともかく、そうでない人達が無為に20代を過ごすことは非常にもったいない気がしてなりません。本来的には、やる気のある人材を国内で活用して国を活性化させられることが理想なのでしょうが、そうは簡単にいかない状況にいるなら、海外に出ることも一つの選択肢。日本語をマスターすることがその選択肢を広げる助けになることを信じて日本語教育に身を置きつつ、日本人である私に他にできることはないだろうか、と模索する今日この頃です。

 

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