ドウロ、トラズ・オズ・モンテス地方の愉しみ方

ポルトガルでまさかの大停電!

 
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その日、私はいつものように家でPCを前に作業をしていました。ふと、wifiが切れていることに気づいたものの、そういうことは時々あるのでそのうち回復するだろうと、あまり気にも留めずそのまま作業を継続。それから1時間、相変わらずwifiが切断状態。訝しく思い、同じことが起こっているのかどうか別の部屋でリモートワークをする夫に確認しに行くと同様の模様。もしかしたら外で工事をしているのでそのせいかと思い、業者に確認しに行ったら、どうもイベリア半島全体で停電だと言う。え、サイバーテロ!?

一人妄想止まらず、取り急ぎ家に帰ってスマホでネット検索すると、詳細は分からないがポルトガル本土全体で停電しているのは、どうやら本当らしい。丁度今年3月にあった暴風雨マルティーニョ(Tempestade Martinho)で、日本語を教えている生徒の一人から数日間停電に見舞われスマホの充電さえままならなかった状況を聞かされていたので、取り急ぎその先1週間の予定はキャンセルになるかもしれないことを覚悟し、まずその旨の連絡を各所に入れました。その後、パソコンもこの後本当に必要になるかもしれない時のためにとっておこう、とシャットダウン。スマホは中のバッテリーが劣化気味なのか最近バッテリーが減るのが早いので、延命措置は早々に断念。

息子も給食が出ず学校から早めに帰宅したので、家族で生活必需品を買いにスーパーに行こうと言うことになりました。スペイン政府はその日のうちに復旧の見通しであることを発表していましたが、「速やかな対応」という意味でポルトガルへの期待値が低い私は、1週間程度復旧できないだろうと独り言ち。脳裏をかすめるのは、昔社会科の教科書で見かけた写真ー石油危機だった当時、我先にトイレットペーパーに殺到する主婦の姿。にもかかわらず、最初に行こうと思っていたスーパーの前の大行列にあっさり怯んで、腹が減っては戦ができぬとばかりに、まずはパステラリアで腹ごしらえをすることに(暢気すぎる…涙)。我が家のコンロIHヒーターは、こんな時全くの役立たずなのです…とほほ。

パステラリアでは、現金での支払いしか受け付けておらず、パンはまだ十分に在庫がありました。よかった、念の為現金持って来て…ほっ。最近は日本もそうかもしれませんが、ポルトガルは基本的にデビットカードでの支払いが一般的なので、あまり現金を持ち歩きません。オジさんがスマホを見ながら、Jスーパーは開いているみたいだけどPスーパーは閉まっている…などとおしゃべりしているのを傍で聞きながら、のんびりランチしている暇があったら、さっさとスーパーに向かえってことだよね、と今更ながらそそくさと残りのパンを口に詰め込みました。

そして、とりあえず、近場のスーパーに入って、買い物をすることに。店の外には車の行列ができていたものの、店の中は人が一杯で身動きができないという程ではありません。こういう時、住んでいる所が都会じゃなくてよかった!と心から思います。水やパン、ビスケット、果物、缶詰などを買い込み、キャンプにでも行く様相です。買い物カゴの中は、普段ならとても食欲をそそるとは言い難いモノが並んでいましたが、この状況が2、3日も続くと、キラキラ光って見えるほど魅力的に映るようになるに違いないと思いつつ、今まで見たこともない長蛇の列の最後尾に並びます。ああ、レジが遠い…。

インターネットももう使えなくなっていたので、情報は専ら移動中の車のラジオから。ガソリンスタンドでガソリンを大量に買い込まないように注意喚起している放送を聞きながら、テクノロジーの進化で便利になったデバイスが何の役にも立たなくなるこの状況に、こういうテロが世界規模で起こったらどうなるんだろう…とまた一人妄想。パソコンやスマホがないと、正直何をやったらいいのか途方に暮れると同時に、そんな不甲斐ない自分の気持ちを認めるのも癪に障りつつ、その一方で思いのほか読書が捗ります(笑)。私の最近の暇つぶしはピアノなのですが、そのピアノも電子ピアノなので弾くことができず…。電気がない生活は本当に不便。「ケチらずアコースティックを買っておけばよかったのに」とのたまう息子に「どの口が言うてんの!そもそもピアノを習いたいと言うから買ったのに、弾かないアンタの代わりに弾いてあげているのはこの私!」と大人げなく応酬。

しばらく家でのんびりしたものの、天気がいいので、近くの公園まで散歩することに。公園で遊ぶ息子を眺めながら外目のんびり、心はざわざわ。夕方帰途に着いたはいいけれど、ニュースが聞けず外の様子が全く分からないので、ラジオが必要なのでは?ということになり、近くのショッピングモールに向かいました。ショッピングモールの上層階の店舗は全部閉まっているようでしたが、スーパーのある階とその隣の電気屋は開いていたので、電気屋に入ると、電池式のラジオは最後の一台を争う展開。皆、考えることは一緒なんですね(笑)。サイズの合う電池が店内になかったので、スーパーに探しに行ったら、「あれ、さっきより明るくない?」店内が明るくなっているので、近くを通りかかった店員さんに聞いたら、電気が回復したらしい。日中は同系列のガソリンスタンドから大量に購入した燃料を使って、店内の灯りを確保していたようなのですが、店内が暗めだったのです。おおー!何だか、急にすーっと心が軽くなり、お祝いでもしたい気持ちになって、ワイン売り場に直行しました(笑)。

長引かなかったので笑って話せるけれど、これが長引いたら治安も含め、大変なことになっていたんだろうなあ、と私達の生きる社会の脆弱さについて考えさせられた一日でした。

 

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Comment

  1. 牛坂博則 より:

    暴風雨の時も読んでいて信じられなかった。

    今回の停電は、みなさん昼間からビールとか飲んで過ごしたなんて報道があって、さすがラテンは違うと思ってました。

    • goen-portugal より:

      あはは、確かに!
      コロナ初期もビーチが込み合って…というニュースがありましたね。
      でも電気がないとできることが限られてしまい、まずは諦めて開き直ってしまうのかも…。

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